日本に就業している外国人を解説!~オーストラリア編~
もはや見ない日は無いと言えるほど、様々な場で活躍している外国人労働者たち。その数は2008年から増加し続けており、厚生労働省によると2018年10月の時点で146万人を超えたとのことです。
今後ますます企業の成長に欠かせない存在となっていくであろう外国人労働者について様々な角度から理解を深めるため、
このシリーズでは日本での就業者数の多い国について国別に解説していきます。
今回は、第8位であるオーストラリアについて、文化・仕事観・特色等をご紹介します。
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そもそもオーストラリアってどんな国?
オーストラリアは正式には“オーストラリア連邦”と言い、オーストラリア大陸本土とその周辺の小島から成り立つ連邦国家です。日本の真南に位置するため時差は1~2時間とほぼ変わりませんが、季節は逆になります。距離で言うと6,848 km。フライト時間は9.5時間程度です。
面積は770万㎢(世界第6位)で、日本の約20倍の広さ…にもかかわらず、人口は日本の1/5程度!驚きですね。
少ないながらも様々な人種や民族が入り混じっているため、言語を始め、文化、宗教的な面でも非常に多様性に富んでいます。ちなみに、公用語は英語ですが、一般家庭で使用される言葉は300以上あるそうです。
また、オーストラリアの経済は世界で最も好調で安定していると言われており、農業、教育、観光、鉱業、資産管理という5つの部門において、世界をリードしているのです。
壮大な土地と資源に近代的・現代的な感覚を持ち合わせ、経済的にも豊かで安定している。それがオーストラリアという国のようです。
参照:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
参照:worldometers
日本とオーストラリアとの習慣・文化の違い
①(時間や期限にも)おおらかな性格
多文化主義の影響か、優しくて懐が深い性質があります。とても素敵なことですが、時間や期限に関する感覚にもおおらかでマイペースな部分があり、日本人からするとひやひやしてしまう場面もあるかもしれません。
職場で教育担当になることがあったら、まずそのあたりについてよく話し合うとよいでしょう。
周囲から急かされてもマイペースを貫くタイプが多いようなので、余裕をもって依頼することを心がけましょう。
②芯の通った性格
基本的にはおおらかで陽気なのですが、その一方で日本人よりプライドが高く、自分の意見をはっきり伝える人が多いようです。芯が通った裏表のない性格といったところでしょうか。
日本人は相手に敬意を払って接するという文化があるので心配はなさそうですが、何かを伝える際は、相手のプライドを傷つけることがないか気をつけるとよさそうです。
とはいえ、くよくよすることがなく明るくてフレンドリーな方々なので、遠慮せずにきちんと向き合って話すことができれば大丈夫でしょう。
③タバコが嫌い
オーストラリアでは、喫煙可能な場所がほとんどありません。歩きタバコはもちろんのこと、建物内も原則禁煙となっている場所が多く、バーですら吸うことができないのだとか。
そもそも好まない人が多く、WHOによれば男性の吸煙率は16.7%と、日本人男性のおよそ半分しかいないそう。(女性に関しては若干日本人の方が高いようです)
ですので、オーストラリアの方の前でタバコを吸うときは、一声かけるのがよさそうですね。
…ちなみに、オーストラリアのタバコのパッケージは警告のためかなかなか衝撃的なものが多いので、禁煙を考えている方は検索してみると良いかもしれません。おすすめはしませんが(笑)
④相槌はNG
オーストラリアの公用語である英語には、相槌として使う言葉があまりありません。代わりにアイコンタクトを用いて「あなたの話を聞いている」旨を表現します。
とても大切なマナーですので、目上の方の話を聞く際は注意しておこないましょう。
また、話の最中に相槌を打つと、「話を早く終わらせたい」ということを意味してしまうので、こちらにも注意が必要です。
参照:衣食住でもこんなに違う!?オーストラリアの文化や習慣まとめ|Pokke Magazine
参照:オーストラリア人は陽気って本当?留学前に知っておきたいオージーの特徴・性格|留学くらべーる
参照:World Health Statistics 2016|Monitoring health for the SDGs
オーストラリア人は、なぜ日本を就業先に選ぶのか
まず、言語の学習機会が多いことが挙げられます。
オーストラリアの学校で最も学習されている外国語は、なんと日本語なのだそうです。小学校から大学まででも約36万人の方が学んでおり、英語圏で断トツの学習者数を誇っています。
姉妹校として提携している学校も多く、オーストラリアの学校と日本の学校を合わせると650校にも上るため、交換留学としてお互いの学校間で生徒が行き来する機会が豊富なようです。
また、貿易相手として関わる機会が多いことも関係しているでしょう。
日本とオーストラリアは“日本・オーストラリア経済連携協定”という協定を結んでおり、輸出入貿易相手国として深い関係性を築いています。
外務貿易省統計によれば、オーストラリアの貿易総額6,726億豪ドルの内、9.1%は日本とのもので、中国、アメリカに次いで3位とのこと(2016年)。
様々な国に門戸を開いているオーストラリアで3位ということからも、かなり深い関係にあることが伺えます。
他にも、経済面だけでなく防衛面でもパートナーであることや、日本の治安の良さ、時差がほとんど無いところ、外国人就労者へのサポート体制があるところ、日本文化を愛する方々が増加していることなども、大きな理由になっています。
オーストラリア人の仕事観
仕事観についてお話しする上でまず知っていただきたいのは、“オーストラリアの方が日本で働くのはかなり大変なことである”ということです。
それほどまでに、オーストラリアと日本では仕事観が違うようなのです。
例えば、
①残業や休日出勤の文化が無い。カフェや遊園地でさえ、17時には閉店する。
②有給取得は当たり前。1年につき4週間の有給が保証される。
③個人主義で、自分の意見を言うことが大事。
④人の仕事を手伝うという文化が無い。
⑤仕事の後、皆で飲みに行くという文化が無い。
というのが、オーストラリアでの一般的な感覚になります。
「仕事より家族やプライベートを優先すること」が、“常識”であることがお分かりいただけたでしょうか。
オーストラリアの方と働く機会がある場合は、言語よりもこの職業観に戸惑うかもしれません。
もし自分が逆の立場だったら?と考えながら、お互い歩み寄れる道を探していきたいものですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、日本に就業している外国人就業者数第8位の『オーストラリア』についてご紹介いたしました。
最後に、2017年に安倍総理がオーストラリアを訪問する際、マルコム・ターンブル首相が発表した声明が最も分かりやすく両国の関係性を表しているなと思ったのでご紹介したいと思います。
“オーストラリアにとって、日本は何十年にもわたる大切な友人である。両国は共通の価値観で結びついた友人であり、パートナーである。”
この言葉からも感じられる通り、言葉や文化で戸惑うことがあっても、お互いに思いあっているということはゆるぎない事実です。一緒に働く機会がある際は、大切な友人として、温かく迎え入れたいですね!
オーストラリアの方と交流する機会がある方、雇用する予定の方、既に雇用されている方など、興味がある方にとって役立つ情報であると嬉しいです。