コラム

Column

さん?様?外国人育成における『敬称』の落とし穴

育成

 

外国人人材の採用において、人事ご担当者様や共に働く社員の方々がまず対峙するのは、言葉や文化の違いではないでしょうか。

 

外国人人材の増加に比例して外国人人材との人間関係や信頼関係が上手く構築できずに頭を悩ませている方々が年々増えています。

 

これは、「なぜ相手はこのような言動をするのか?」という背景を知らずにコミュニケーションを取っていることが原因であると言われています。

 

そこで日本語教育の現場では、その解決策として、ただ単に「こうするべき」と日本の文化を教えるのではなく、

 

・日本はなぜこの文化を持っているのか
・どのような考え・メリットがあるから教えるのか
をまず育成者側が理解すること。

 

また、
・相手の国はどういった文化を持っているのか
・そのような考え方を持っている人からすると、日本で働く際に
どの部分がつまずきやすくなるのか
を把握することで、

 

適切なフォローや交流ができると言われています。

 

今回は、その一例として『敬称』に関する違いを日本と海外の文化や考え方の違いを踏まえながら取り上げていきます。

 

 

 

『敬称』は日本の文化なのか?

 

『敬称』という概念を持っているのは、日本だけである。〇か×か。
こう聞かれたとき、皆さんはパッと答えられますか?

 

正解は×。他国にも存在しています。

 

もし、そもそも敬称というものが日本独自の文化であった場合、外国人人材にとってそのハードルは敬語の使い分けと同じくらい難しいとされても仕方が無いと思います。ところが、実際は日本だけでなく海外にもある文化です。

 

ではなぜ外国人人材の方々は、「社長様」や「○○部長さん」など、敬称の使い分けに戸惑ってしまうのでしょうか。

 

それは、ルールの違いが原因にありました。

 

まず、ビジネスにおける一般的な日本の敬称のルールを確認してみます。

・役職名のみ、または苗字+役職名
例:社長/山田部長
・役職名をつけない場合は、「様」か「さん」をつける
例:●●株式会社 高橋様(社外)、高橋さん(社内)
・社外では敬称をつけず苗字のみ
例:弊社の鈴木が~

 

業界、企業ごとに些細な違いはあるとは思いますが、おおよそこの通りかと思います。

 

では、次に海外のルールの例として身近な国をいくつか挙げてみます。

 

【アメリカ、イギリス(英語圏)】

・主にMiss/Mrs./Ms./Mr./Dr.の5種がある
・最近はLGBTなどの性の多様性に合わせ「Mx.」という敬称もある

 

【中国】

・男性には「先生」をつける
・女性には「小姐」または「女士」をつける

 

【韓国】

・苗字の後ろに役職名をつける
・上司の名前が不明の場合、役職名の後に「님」(日本語の“様”にあたる)をつける
・同僚でも年上や会社の入社年次が早い人を呼ぶ時は、役職の後ろに「님」をつけるか、「선배님」(先輩様)と呼ぶ

 

いかがでしょうか?日本と似通ったルールもあれば、何故そんなルールが?と思うものもあったと思います。
また、「もしかしてこれが原因だったのでは」と思い至った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

このように、言い間違いの中には、母国語の言葉の法則に影響を受けてしまっていることが原因のものもあるのです。

 

海外にも敬称はあるのだから日本のルールを覚えれば大丈夫、とインプット中心で教えたり覚えたりすると、思わぬ落とし穴にはまってしまうため注意が必要なようです。

 

それでは、その解決策の一つを次項でお伝えします。

 

 

 

日本の『敬称』を腹落ちさせるには

『敬称』と一言で言っても、業界や企業ごとにルールが異なるのが実情です。

 

特に役職名に関しては、既存の括りだけでなく、全く新しい名称や英語ベースの横文字の名称も近年増加してきました。

 

外国人人材にとって、既存の規則性から外れた名称やカタカナ英語は意味が推測しづらく、言いづらい、全く新しい語句に捉えられます。

 

そこでスムーズに敬称を理解するために取り入れられているワークの一例が以下の流れです。

 

①役職名一覧を役職が高い順に提示する。
②役職名に性別・年齢・仮名(山田,鈴木,高橋etc)をランダムに当てはめ、それぞれに対応する人物に対して社内外でどう呼ぶかを答えてもらう。

 

まず①で組織全体の上下関係と社内で用いる役職名を把握させます。席次などの場面でどんな立ち振る舞いをすれば良いかを考えられる土台作りのためです。

 

そして②で実際の会話などで用いる呼び方を練習します。

 

単純に知識や勉強不足という問題ではなく、前項で述べたように性別・年齢などで敬称の使い分けをしてきたため、そのルールの影響を受けて間違ってしまうだけですので、実践しながら覚えてもらいます。

 

こうして日本の敬称のルールを伝えることで、外国人人材の方達は自分たちのルールとの違いをしっかり認識した上で、日本の敬称を自ら考えて正しく運用できるようになるのです。

 

 

 

 

 

まとめ

「ビジネスマナーもマニュアルの内容も分かるのに間違えが多いのはなぜか」とお悩みの方は、文化の違いを疑ってみると良いかもしれません。
原因究明の一つになりましたら幸いです。

 

今後も文化と言葉の観点から円滑なコミュニケーションのきっかけとなる情報を発信していきます!

 

 

お問い合わせはこちら

日本初の外国人育成・定着のプロ集団 外国人の育成・定着のお悩みを解決します。 お問い合わせ