外国人育成も日本人育成もやることは同じ!“あたりまえ”の違いに注意
ほぼ毎日と言って良いほどニュースやSNSで外国人の雇用と育成について見聞きする昨今。それにつれ、弊社宛にご質問やお問い合わせをいただくことも多くなってきました。
特に多いのが育成に関するお悩みです。
外国人を育成する上で障壁となるのはどんな要素かと聞かれたとき、一番に浮かぶのは“言語”だと思います。
しかし、実はそれ以上に高いのが、“文化”という壁。
仕事における文化、つまり『ビジネスマナー』の教育をどう乗り切るかが、外国人の育成をおこなう上でかなりのポイントとなってきます。
そこで今回は、外国の方への『ビジネスマナー』の教育方法についてお話しします。
コンテンツ
名刺交換の1つもできない?私たち日本人も教えてもらって初めてできたはず!
日本のビジネスマナーにおいてまず基本となるのは“名刺交換”ですね。
初対面の方との大切な挨拶の場であり、万が一名刺を忘れたなんてことになれば、“ダメな社会人”として見られてしまうほど重視されています。
その上ただ出せばいいわけでもなく、目下の者が先に名刺を出す等の細かいルールまで決まっている状態。
春先には、恐るおそる名刺を交換する新入社員の方々に出くわすことも多いのではないでしょうか。
ところが。この名刺交換という文化を大事にしている国は、現在では日本と韓国くらいのものなのです。
その他の国において、名刺は“ただの紙”。 名刺交換より何よりもまずは挨拶。そして握手からスタートするというのが、ビジネスマナーとされています。
名刺自体は存在していても、交換するタイミングは決まっていません。交換せずに終わることもあるほどです。
となると、外国の方に名刺交換を教える際は、ルールを教えるところからではなく、もっと前提の部分から入る必要があることがお分かりいただけるでしょうか。
国が違うから、言語が違うからなかなか育成が進まないのではなく、その人が培ってきた“あたりまえ”が自分と違うだけ。
そこに配慮すれば、日本人の新入社員を育成することと、そこまで変わりはないのです。
目上の人を優先するのがあたりまえでしょ!いや、海外はレディーファーストが一般的です。
日本では、席次・エレベーター・名刺交換・メール等の全てにおいて、目上の人を立てるのがマナーです。そこに男女は関係なく、入社年次や役職で決められています。
エレベーターならば、最も目下の人がボタンを操作するために先に乗り、その後は役職の高い順に乗り込み、決められた位置に立ちます。(もちろん状況に応じて臨機応変な対応をすることも必要です)
一方海外、特に欧米では、目上の人より何より、“レディーファースト”で考えるのがスタンダードです。
といっても、近年は、「過度なレディーファーストは性差別にあたる」と言われたりもするのでTPOに合わせておこなうそうですが。
それでも、“エレベーターは女性が先に乗る”、“ドアの開け閉めは男性が率先しておこなう”、“重い荷物は男性が率先して持つ”辺りは、まだまだ根強いようです。
ですので、外国の方に上座下座の話をする時は、「性別ではなく、目上の人を優先しなければいけない」ということを伝えなければいけません。
先ほどの名刺交換もそうですが、日本人に対する研修でも必ず取り上げる内容です。
育成中に「こんなことも分からないのか…」と思うことがあっても、それは日本人の新入社員を育成する時にも出るような悩みであることが多々あります。
もしその外国人がコミュニケーションにはほぼ困らないという人なのなら、世界で4番目に難しいと言われている日本語を身につけているという時点で理解力に不安はないはずです。
ですので、「何度言っても覚えない」と思うことがあるなら、まずは前提を疑ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、外国人育成のハードルとなっている『ビジネスマナー』について、日本と海外の違いを比較しながら考察してみました。
「郷に入れば郷に従えという言葉もあるじゃないか!」と思う方もいらっしゃるでしょうし、もちろん外国の方がそれに倣ってくれるのであれば育成はしやすいことでしょう。
しかし、そうは言っても、日本人の私たち同士でさえ育った環境や文化は違うものです。
「外国人だから」「日本人だから」という考えを一度頭から外してみると良いかもしれません。
とは言え、日本語レベルや国ごとに配慮をしながら育成をするのは簡単なことではありません。
弊社では、そこにフォーカスした研修もご提供していますので、もしよろしければご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!